「水を汚さず、山を守る」茶の心
するが有機農場共同組合の地元、静岡県は全国の茶園面積・収穫量の約40%を占める日本一のお茶の産地だ。お茶の木は、年間平均気温14~16度以上、冬の最低気温5~6度程度の温かい地域で、年間1,500ミリくらいの雨が降る土地を好む。東西に広い静岡県では、お茶作りに適した気候、水はけと日当たりのよい土地、高い生産技術により、各種品評会で数多くの賞を受賞するような品質の高いお茶が生産されている。平成29年の荒茶の総生産量は8万2千トンで、有機の割合は3.41%。
お茶ができるまで通常、年間15~20回ほど農薬が散布されてる。濃厚で深い味わいのお茶を作るために、大量の窒素肥料が投入される結果、硝酸態窒素などによる地下水汚染が問題になっている。そんななか、するが有機農場共同組合は農薬や化学肥料を一切使用しない有機茶づくりに取り組む団体として東日本大震災を機に発足した。静岡ブランドにあぐらをかかず、情報交換をしながら互いに協力し合い、有機栽培技術の向上に励み、最高の茶づくりを追求してる。
有機JAS認証(オーガニック)の煎茶
最高級手摘み煎茶 誉(丁寧に手積みで摘んだ茶葉から仕立てた煎茶)
高級煎茶 立夏(茶葉を厳選し、味と香りを追求した煎茶)
上級煎茶 清流(毎日ごくごくと飲めるようコストパフォーマンスを重視した煎茶)
※配送に関して、単品〜2品はレターパックでお届けします。
するが茶心シリーズの特徴
◎ 全圃場有機JAS認証の環境に配慮した栽培を実施。
◎ 農薬・化学肥料不使用なので、茶葉を料理に活用できる。
◎ 「手もみ茶」の復活や生活者を招いた体験を実施。
煎茶の入れ方
「茶葉が火傷をするから熱湯を入れてはだめ。お茶の葉が可愛そう。」代表である斉藤勝弥さんはいう。煎茶は70℃くらいのお湯の温度で開かせると、茶葉の甘みと渋み、同時にエキスとミネラルをバランスよく出していくのだ。熱湯をそのまま茶葉に注ぐと茶葉が驚き(火傷し)、渋みだけが出てしまい、苦くて旨味のないお茶になってしまう。
① ヤカンに沸騰したお湯を、湯冷ましに移して70℃程度までさます。
② 茶葉を入れたきゅうすに静かにお湯を注ぎます。
③ 30〜60秒ほど抽出させてから湯のみに注ぐ。
茶葉を料理に使う。
① 炊きたてのご飯に茶葉を混ぜておにぎりを作ると、お茶の香りのおにぎりができます。
② 出がらしの茶葉を取り出し、だし醤油にひと晩漬けて茶葉の佃煮の完成。ご飯のお供に最適です。
自然との調和を保ち、 安全でおいしいお茶を育てる3組のするが天狗
するが有機農場協同組合 岩崎 忍さん
有機栽培が当たり前
うちは40年以上前から有機でお茶を作っています。周りは農薬を使うのが主流でしたが、自分も農薬を浴びたくなくて、有機栽培を貫きました。品種はやぶきたがメインで、標高350メートルほどの山中にある圃場の大きさは全部で2町歩ぐらいです。山間部は平地より雨が降りやすく、気温の寒暖差が大きいため、お茶にはよい環境です。自分の畑だけなので、他の農薬の影響も受けません。
この辺の地域は土を掘ると、大きいものから小さいものまで石がたくさん出てきます。ミネラル成分がかなり豊富な土壌なうえ、粘土質と比べて、小石混じりだから水はけがいいのが特徴です。
5月の一番茶の季節だと朝6〜7時ぐらいから露はらいをして、8時ぐらいからお昼までお茶刈り、昼食後にお茶の製造を始め、遅いときには0時頃になります。それが20日ほど続きます。機械刈りではなく、一芯二葉を手摘みすると葉が揃いますが、すべて手で摘むのは難しいですね。収穫した茶葉の状態を手で覚えることで機械揉みの製茶に生かそうと、製茶の基本となる手揉み製法も学んでいます。手揉み練習用の畑もあります。
「水を汚さず、山を守る」茶の心
有機栽培には大変な面がたくさんあります。湿度が高い梅雨時は病気が出やすいため、日本の気候自体が有機の実現を難しくしていると思います。
有機栽培と慣行栽培のお茶では硝酸態窒素の値が全く違います。有機栽培は窒素肥料を与えないため、お茶が伸びず、収量は減ります。でも、香りが爽やかで、嫌な苦みがなく、後味が違います。農薬を使っていないので、茶殻も食べられます。今年は妻も僕も蜂に刺されました。消毒をしないため、お茶の木に蜂が巣を作るんです。生葉には慣行栽培の約2倍のビタミンCが確認されています。
落とした葉っぱや茶殻などが土の上に堆積せず、すぐに微生物が分解してくれて、たいがい1年で土に還ります。微生物が炭酸ガスを出すので、土が柔らかく、ふかふかです。酸素が行き渡るからよい根っこが育ち、肥料を吸収してくれます。草が生えやすいので、草取りは大変ですが、やっぱり土作りは大事だと思います。肥料は乾燥おからや醤油かすなど、植物性の有機質のものを使っています。あとは配合機でぼかしを作って使います。
東日本大震災の福島原発事故により、放射能規制値越えのお茶が静岡から出ました。その年は扱い停止になり、苦労して作ったお茶を廃棄処分にせざるをえなかったのが辛かったですね。その後、お茶を飲んでくれる方が減ったように感じます。お茶の需要が少なくなったことに危機感を覚え、「水を汚さない、山を守る」という根本的な考え方が同じ3軒が集まり、一緒にがんばっていこうと結成したのが、するが有機農場協同組合です。
するが茶の味わいを世界へ発信
お茶の主流は現在、短時間で色が濃く出て、まろやかな味わいの深蒸し製法のお茶ですが、僕たちは浅蒸しから中蒸しの昔ながらの日本の固い山のお茶を作っています。静岡がお茶の名産地として長い伝統を誇るのは、この土地にお茶が合っているからです。おいしい静岡茶を国内でももっとたくさん飲んでもらいたいし、するが有機農場のお茶を海外にも発信し、広めていきたいですね。
有機栽培は安心安全が大前提で、そこにプラスして「おいしい」お茶を飲んでいただきたいという思いがあります。飲んでくださったお客さんから「おいしかったよ」と言っていただけることが、やっぱり一番嬉しいですね。「今年のお茶は特においしかったですよ」などと言われれば格別です。
お茶の味わいは仕上げ方でも多少は変わってきますが、僕たちはそれぞれのお茶をブレンドしています。せっかくブレンドするのですから、個々のお茶のいいところを伸ばすようなブレンドの仕方をして仕上げたいと願い、研究を重ねています。
香気漂う浅蒸し茶で客をもてなす茶術を極める茶名人
するが有機農場協同組合 斉藤勝弥さん
斉藤茶園の斉藤勝弥さんは、栽培から製茶まで自園茶製法で本山茶を栽培する老舗茶農家だ。二十歳の頃に茶術の師匠に師事して技を磨き、お茶淹れ名人としても知られる。茶葉の形状で特徴をつかみ、手でふるいわけ、2番目に細かい葉に合わせて湯の温度、量、抽出時間を見極めるという。
「家で一番いいお茶を来客に出すのは、おもてなしの精神です。エキスを抽出して飲むのはお茶だけなので、押しつけるのではなく、相手の好みに合わせたお茶の淹れ方をしなさいと教わりました。お茶はただで飲めるもののように変な風に変わってしまいましたが、お茶の収穫は1年に1回だから、大切にしてもらいたいですね」(斉藤さん)
*斉藤茶園のある安倍川の支流、藁科川流域の静岡市葵区西又は、江戸時代に徳川家康に御用茶として献上された本山茶の発祥の地
茶摘みと手揉み茶体験が魅力。有機茶農家民宿 ぬくもり園ゆるり
するが有機農場協同組合 西山 孝さん・京子さん夫妻
銘茶産地として名高い小河内地区の「ぬくもり園ゆるり」は、趣ある築100年の古民家が印象的な有機栽培農家民宿だ。茶室と縁側のある離れでは本格的な茶席が楽しめる。有機栽培のお茶摘みや手揉み茶体験のほか、たけのこ・とうもろこしなどの有機農作物の収穫と料理、みそ・梅干し・こんにゃく作りなど、季節に応じた体験ができる。
「急須を覗いて一芯二葉のお茶っ葉が見えるのは手揉みならではです。そういうお茶を飲ませてあげたいですね」とオーナーの西山孝さん。「オープンして3年、お茶目当ての外国人客が多いですね。自分で摘んだお茶を手揉みして淹れて味わえるので、お子さんのご要望で3年続けていらっしゃるご家族も」と、手揉み師範である妻の京子さん。
農薬 | 不使用 |
肥料 | 無化学肥料 |
認証 | 有機JAS認証 |
販売 | 通年 |
消費目安 | 約1年 |
生産者 | するが有機農場共同組合 |
代表者 | 斉藤勝己 |
住所 | 静岡県静岡市葵区西又 |
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