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記事: かみむら農園 farm letter vol.49

かみむら農園 farm letter vol.49
京都府

かみむら農園 farm letter vol.49

 土と創る.48 京都いちご (PDF版ダウンロードはこちらから)

たった0.002%しか存在しない超プレミアムな有機JASいちご

 世界で10位、生産量16万トンの日本のいちごは品種が約300種と大変多く、世界全体の品種の半分以上という説もある。いちごは栽培期間が長いため、病害虫の被害を受けやすい繊細な果実だ。慣行栽培のりんごの標準的な農薬散布回数が36回であるのに対し、いちごは50回前後に及ぶ。化学肥料・農薬不使用の有機栽培のいちごの生産者は日本にわずか10名ほどしかいないといわれている。
 そのうちの1人が、京都府八幡市初の有機JAS取得農家、かみむら農園の上村慎二さんだ。板前や自動車営業など、さまざまな職種を経験した後、2010年に就農。きゅうりや大根、にんじんを有機で栽培し、2017年からは有機いちごの栽培を開始した。
 自身の野菜作りが間違っていないか確認するため、味と栄養価を競うコンテストに毎年出品し、大根部門で2度最優秀賞を受賞。ほうれん草は2年連続ファイナリストに選出された。師匠から受け継いだ有機農業の技術を次代に伝えるべく、研鑽を積んでいる。

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こだわりの植物性肥料で、余韻の残るおいしい作物を

【かみむら農園 上村慎二さん】

なすを食べて感動し、有機農家へ

  大阪に住んでいた当時、義理の父が家庭菜園で作ったなすを京都の八幡市の実家から家内が持ち帰り、そのおいしさに感動したことが就農のきっかけです。「おいしい野菜は人を感動させられる!」と、すぐに就農相談に行き、おいしい野菜を作れる農家さんを紹介してもらい、研修を1年受けました。11年前の2010年のことです。
 農業の知識が何もないズブの素人でしたが、師匠が作った有機栽培のピーマンがびっくりするぐらいおいしくて。実はピーマンはあまり好きじゃなかったのに、義理の父のなすを遥かに超える味でした。それが有機栽培と師匠との出会いです。
 有機では100%はとれないから70%を目指せと師匠に言われましたが、最初は3〜4割しかとれません。技術がないせいで仕方ないことなので、もっとレベルを上げていければいいと考え、失敗して苦しいとは1回も感じませんでした。
 義父の3アールの菜園を僕が強奪して(笑)20〜30種類作り、適した野菜を探しました。半年後に3反の圃場を借りられ、徐々に露地トマトをメインにしようとシフトしていった矢先に、トマトアレルギーが発覚したんです。花粉で昼から寝込むこともあり、メイン野菜をきゅうりに切り替えることになりました。圃場面積はいま80アールです。


香り高い肥料が「口福」を生む

 この圃場は最初、トラクターを入れてもボロボロにならない重粘土で、雨が降ったらべちゃべちゃでしまる状態でしたが、10年経って団粒もでき、香り高くふかふかなよい土に変わってきました。
 肥料は地元の資材を使って循環させたいと思っています。近所のお豆腐屋さんの産業廃棄物だったおからに菌と米ぬかを混ぜて発酵させ、ぼかし肥料にしています。京都の南部で竹が豊富なので、潰した青竹を竹の乳酸菌だけで発酵させて使っています。香りがよくなり、糖度が上がりました。
 畜糞関係は入れません。えぐみ成分の硝酸態窒素が上がってしまうし、肥料によって作物の香りが変わると思っているからです。香り高いものを入れたら香り高い作物ができるという考えです。
 単調な味わいだと、口の中に物を放り込んですぐに「甘っ」「酸っぱ」と一瞬で消えてしまいます。それが「甘酸っぱい」になったら、「甘い」「酸っぱい」と横ブレして、少し長く残り出します。さらに香り、雑味、コクが加味されると螺旋状にぐるぐる回って、味が消えるまで時間がかかります。
 香りが鼻から抜けるような、口の中に長く残る複雑な要素が「おいしい」の定義かなと僕は思っていて、その辺りを竹を入れて実現できるようになりました。例えば、僕のいちごを食べていただいたら、甘味と酸味のバランスがよく、香りも豊かで、「口福」を感じていただけると思います。


有機栽培のいちごに挑戦

  いちごは200株からスタートし、600、1200、2400、4800株と徐々に増やして5年目。来年は1万2000株の予定です。自分が食べたいという理由で、就農当初から作りたいと思っていました。当然、有機栽培しか選択肢がありません。大丈夫だろうと軽い気持ちでしたが、やってみたらとんでもなく大変でした。でも、ポジティブなのかアホなのか、「失敗してもいいや、うまくいけばラッキー」と思っているんです。
 大量発生するアブラムシはてんとう虫で制圧し、農薬を極力使わずに天敵で防除します。受粉用ビーフライのおかげで、奇形果が減りました。
 収穫の時間帯にはこだわっていて、いちごに限らず、花を咲かせて実をつけるものは夜の間に実に栄養を戻すので、その時間帯を狙って明け方4時から収穫します。いちごは暖かくなると急に柔らかくなるので、4月は3時スタートです。来季2棟建て増しするハウスには暖房や天井のライト、環境制御を整えますが、いまは明かりがないので、ヘッドライトをつけて1人で収穫しています。
 来季はよつぼし、おいCベリー、やよいひめの3品種を作ります。台湾輸出のオファーをいただいていて、こすれに強い固い品種を選びました。


オーガニックの総量を増やすために

 子どもたちにオーガニックを食べて欲しいと思う気持ちは強いです。子どもたちはおいしかろうがまずかろうが親が選んだものを食べるしかありません。みんながオーガニックを取り入れてくれる環境を作るため、生産者として働きかけます。
 後進を育てていくのも、すごく重要なことです。アグリイノベーション大学校で有機農業を教えているなかから1人でも生産者が増え、有機の総量が上がるようにと考えながら活動しています。  実は研修を終了した1年半後ぐらいに師匠が56歳で亡くなりました。あと7年しかありません。まだ40代ギリギリで体力もあるので、できることを1個でも多くやっておきたい。規模を縮小しつつ、70代終了まで農家をやりたいと思っています。
 太陽が昇ったら起き、鳥の声が聞こえて、自然な生き方ができるのが農業の醍醐味です。何より人が喜んでくれるのが一番いいところですね。
 娘に無理に跡を継いでもらいたいとは思いません。本人次第です。それこそ、結婚して旦那さんが農業をやりたいといったら理想的ですよね(笑)。


今年のチャレンジ野菜は有機栽培のスイカ!

 夏はきゅうりとおくら、冬はいちご、にんじん、大根を栽培しているかみむら農園では、メイン野菜の他に毎年、チャレンジ野菜を作る。「飽き性なんです。作物を絞ってくると年間通して同じことの繰り返し。新しくて難しいことを何か一つくらいやらないと自分がだめになりそうな気がして。大儲けする気はないので、人が喜んでくれて、生活が成り立てばいいかなと」  今年は1軒に1個あれば家族みんなで食べられる中玉サイズのスイカに、農家キャリア11年で初めて挑戦するという。
 「義理のお父さんが13、14年前に家庭菜園で作っていたのを見たことがあるレベルで、かぼちゃと同じような感じでいいのかなという、それぐらいの知識です。実はスイカがきらいなので、ただ単調な甘さではなく、コクや味わい深さを求めてやってみようと。だめな場合はすぐわかりますので、世に出ません」  「売れたらラッキー」と屈託なく笑う上村さんだが、全国的に見ても貴重な有機JAS認証のスイカ、成功させてもらいたい。


「もう苗ができあがっていて、植えなくちゃいけないのに手が回らない状態なんです」 前回のチャレンジ野菜はとうもろこし。カラスの被害で2反全滅し、カラスがつついた部分をよけて家で食べたそうだ。「しゃあないよね」となったら、「次行ってみよう〜」と、いかりや長介のような前向きな思考なのだという

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